歯・口腔の健康
歯・口腔(こうくう)の健康を守るために
歯を失うほとんどの理由はう蝕(むし歯)と歯周病です。どちらも歯の周囲が不潔になることで状態が悪化しますので、個人が行う予防の第一歩は口の中を清潔に保つことです。
さらに、う蝕や歯周病以外にも、かみ合わせや口の中の状態は自分で分からないことも多く、また口の中の状態は一人ひとりで異なるため、歯科検診で専門家の視点から、清掃状態や、う蝕や歯周病の状態を含め定期的にチェックを受けることも必要です。
山口県における代表的な歯科検診の受診状況は以下の通りですが、成人を中心に一層の受診の普及が必要です。
(成人における年1回以上の定期的な歯科検診の受診者率、出典:県民歯科疾患実態調査)
(各種歯科検診の受診・実施状況、出典:市町歯科保健事業実施状況報告・県民歯科疾患実態調査・県健康増進課調査より改変)
お住まいの市町や職場によっては、各種の歯科検診や指導、歯科教室などを開催している場合があります。
具体的な取組の例
- 胎児期、妊産婦
- 胎児期の早期から歯の形成は行われます。妊娠により口腔清掃が困難になり歯肉炎になりやすくなるなど、特徴的な変化も生じます。妊娠中から出産に至るまでに必要な知識と健康づくりのために、妊産婦歯科健康診査、妊産婦歯科保健指導を受診しましょう。
- 乳幼児期
- 乳歯のう蝕はかみ合わせや顎の発育にも影響を与えます。歯みがき習慣は3-4歳で獲得されることが多いと言われますが、6歳臼歯は非常にう蝕になりやすいため、ひとりで歯みがきを行うようになっても保護者が必要に応じ仕上げ磨きを行うことが効果的です。
乳幼児のう蝕は減少傾向ですが、かみ合わせの異常は漸増しており、成長発育にあわせた定期的な検診が必要です。 - 学齢期
- 乳歯から永久歯への生え替わりの時期では、歯みがきが難しくなります。虫歯予防だけでなく、最近は中高生の歯肉炎等も増加傾向にあるので注意が必要です。
- 成人期
- 歯周病を有する人が増加します。本人が気付かないうちに進行することもあるため、自分の歯を出来るだけ長く残すために定期的に歯科検診を受診しましょう。
- 高齢期
- 一人平均現在歯数は60歳代では21.4本、70歳代では17.3本、80歳代では10.3本と、60歳代から80歳代までで11本が失われています。但し、なんでも噛んで食べることが出来る人との割合は、平成22年と比べて増加しています。8020達成に向けて、う蝕や歯周病の予防に取り組むことはもちろんですが、歯を失った場合は入れ歯など適切な治療で補うことで咀嚼等の口腔機能を維持し、生活の質を高めることができます。
(一人平均現在歯数、出典:県民歯科疾患実態調査)
(咀嚼良好者の割合、出典:県民歯科疾患実態調査)
- 要介護者、障害児者
- 摂食・嚥下機能が低下し、口の中を清潔に保つことが困難な場合があります。口腔清掃および口腔機能の維持回復を目的とした口腔ケアを本人・介助者が行うことが有効です。
定期的な歯科検診や指導を実施している施設があります。
山口県の歯科保健
より詳しく知りたい方のために
う蝕
- 高齢期における根面う蝕のリスク
- 一般的にう蝕は奥歯のかみ合わせや歯と歯の間に生じることが多いのですが、加齢により、徐々に歯肉が痩せ露出した歯の根もう蝕になりやすいことはあまり知られていません。さらに、歯の根がう蝕になると歯を失う危険性が増加するため注意が必要です。歯周病があることで、歯肉の痩せ方がより強くなるので注意が必要です。
歯周病
- 糖尿病について
- 糖尿病と歯周病はお互いに状態を悪化させるリスク因子です。(歯周病があることで糖尿病が改善しにくくなり、逆に糖尿病があることで歯周病になりやすく、治りにくくなります。
歯周病の治療により、糖尿病の状態が改善することもあるといわれます。 - 喫煙について
- 喫煙により、歯周病になりやすく、また歯周病がより重篤化しやすくなります。
フッ化物の応用について
う蝕を予防するために、フッ化物を用いることが有効です。フッ化物の働きにより、歯の表面が強化され、う蝕になりにくくなります。フッ化物の使用法として、次の2つが代表的です。
- フッ化物洗口
- フッ化物の入りの薬液でうがいをする方法です
- フッ化物入り歯磨材
- 歯みがきを行う際にフッ化物が含まれる歯磨き粉(ペースト)を用います。
キシリトールについて
う蝕の原因となるショ糖を含まない甘味料です。さらに、う蝕の原因菌であるミュータンス菌の働きを弱める効果も期待できます。キシリトール入りのチューイングガムやタブレットとして使用しますが、大量に摂取すると、おなかが緩くなることがあります。
各種清掃(補助)器具
う蝕や歯周病を予防するために最も身近な手段がブラッシング(歯みがき)です。より効果的に清掃を行うためにいくつかの器具を組み合わせて行うことが大切です。
- 歯ブラシ
- デンタルフロス
- 歯間ブラシ
- プラークテスター(歯垢染色液)
8020(はちまるにいまる)について
80歳になるまで自分の歯を20本以上残そうという取組です。平成27年時点で、山口県において20本以上自分の歯を有する80歳の割合(8020達成者)は36.7%であり、2022年の目標は50%です。
(20本以上の歯を有する者の割合、出典:県民歯科疾患実態調査)