休養
はじめに
「休養」は疲労やストレスと関連があり、2つの側面があります。
1つは「休む」ことで、仕事や活動によって生じた心身の疲労を安静や睡眠等で回復し、元の活力ある状態にもどすという側面であり、2つ目は「養う」ことで、明日に向かっての鋭気を養い、身体的、精神的、社会的な健康能力を高めるという側面です。
このような「休養」を達成するためにはまず「時間」を確保することが必要で、特に、長い休暇を積極的にとることが必要となりますが、このような休養の時間を取っても、単にごろ寝をして過ごすだけでは真の「休養」とはならず、リラックスしたり、自分を見つめたりする時間を1日の中につくること、趣味やスポーツ、ボランティア活動などで休日を積極的に過ごすこと、長い休暇で、家族の関係や心身を調整し、将来への準備をすることなどが真の休養につながります。
健康づくりのための睡眠ガイド2023
- 厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針の改訂に関する検討会」において作成。
- 健康日本21(第三次)における休養・睡眠分野の取組を推進するため、生活指導の実施者(保健師、管理栄養士、医師等)、政策立案者(健康増進部門、まちづくり部門等)、職場管理者、その他健康・医療・介護分野において良質な睡眠の確保を支援する関係者等を対象者として、睡眠に係る推奨事項や参考情報をまとめています。
適正な睡眠時間の確保
成人
適正な睡眠時間には個人差があるが、6時間以上を目安として必要な睡眠時間を確保する。
こども
小学生は9〜12時間、中学・高校生は8〜10時間を参考に睡眠時間を確保する。
高齢者
長い床上時間は健康リスクとなるため、床上時間が8時間以上にならないことを目安に、必要な睡眠時間を確保する。
睡眠休養感を高める
成人
- 食生活や運動等の生活習慣や寝室の睡眠環境等を見直して、睡眠休養感を高める。
- 睡眠の不調・睡眠休養感の低下がある場合は、生活習慣等の改善を図ることが重要であるが、病気が潜んでいる可能性にも留意する。
こども
- 朝は太陽の光を浴びて、朝食をしっかり摂り、日中は運動をして、夜ふかしの習慣化を避ける。
高齢者
- 食生活や運動等の生活習慣、寝室の睡眠環境等を見直して、睡眠休養感を高める。
- 長い昼寝は夜間の良眠を妨げるため、日中の長時間の昼寝は避け、活動的に過ごす。
良質な睡眠のための環境づくりについて
- 日中にできるだけ日光を浴びると、体内時計が調節されて入眠しやすくなる。
- 寝室にはスマートフォンやタブレット端末を持ち込まず、できるだけ暗くして寝ることが良い睡眠につながる。
- 寝室は暑すぎず寒すぎない温度で、就寝の約1~2時間前に入浴し身体を温めてから寝床に入ると入眠しやすくなる。
- できるだけ静かな環境で、リラックスできる寝衣・寝具で眠ることが良い睡眠につながる。
運動、食事等の生活習慣と睡眠について
- 適度な運動習慣を身につけることは、良質な睡眠の確保に役⽴つ。
- しっかり朝食を摂り、就寝直前の夜食を控えると、体内時計が調整され睡眠・覚醒リズムが整う。
- 就寝前にリラックスし、無理に寝ようとするのを避け、眠気が訪れてから寝床に入ると入眠しやすくなる。
- 規則正しい生活習慣により、日中の活動と夜間の睡眠のメリハリをつけることで睡眠の質が高まる。
睡眠と嗜好品について
- カフェインの摂取量は1日400mg(コーヒーを700cc程度)を超えると、夜眠りにくくなる可能性がある。
- カフェインの夕方以降の摂取は、夜間の睡眠に影響しやすい。
- 晩酌での深酒や、眠るためにお酒を飲むこと(寝酒)は、睡眠の質を悪化させる可能性がある。
- 喫煙(紙巻きたばこ、加熱式たばこ等のニコチンを含むもの)は、睡眠の質を悪化させる可能性がある。
睡眠障害について
- 睡眠に関連する症状は、「睡眠環境、生活習慣、嗜好品」によるものと「睡眠障害」によるものがある。
- 睡眠環境や生活習慣、嗜好品に起因する睡眠関連症状は、本ガイドの実践で改善する可能がある。
- 本ガイドを実践しても睡眠に関連する症状が続く場合、睡眠障害が潜んでいる可能性がある。
- 睡眠障害が疑われる場合は、速やかに医療機関を受診する。睡眠障害は、専門家に相談
妊娠・子育て・更年期と良質な睡眠について
- 睡眠は月経周期の影響を受ける。
- 妊娠中の睡眠は妊娠経過とともに変化し、胎児の健康にも影響する可能性がある。
- 子育て期の睡眠も健康増進・維持には重要である。
- 更年期には睡眠の悩みが再び増えやすい傾向がある。
就業形態(交替制勤務)と睡眠の課題について
- 交替制勤務では、睡眠の不調などの健康リスクに注意が必要である。
- 不眠や睡眠休養感の低下、業務中の眠気が続き、日常生活に支障を来している場合は速やかに医療機関を受診する。
睡眠障害について
睡眠障害とは、睡眠に何らかの問題がある状態をいいます。眠れなくなることはよくみられますが、眠れないことイコール不眠症ではありません。不眠の原因には、環境や生活習慣によるもの、精神的・身体的な病気から来るもの、薬によって引き起こされるものなど、様々です。
さらに、睡眠障害には不眠だけでなく、昼間眠くてしかたないという状態や、睡眠中に起きてくる病的な運動や行動、睡眠のリズムが乱れて戻せない状態など、多くの病気が含まれます。また、睡眠の問題は1つの原因や病気だけでなく、いくつかの要因が重なって起こってくることも多くみられます。
睡眠の何が問題なのか、その原因は何か、主観的症状と客観的情報を多面的に検討・整理することが、適切な診断と治療につながります。
1.自覚できる症状
- 不眠(寝つきの悪さ、途中で起きてしまい再入眠できない、朝早く起きてしまう、熟睡できない)
- → 精神疾患や身体疾患、服用薬、下記の睡眠障害をチェック
(そのうえで不眠症かどうか判断) - 過眠(日中眠くてしかたない、居眠りをして注意をされる)
- → 睡眠不足や睡眠の質が低下する病気がないか、チェック
(もし、夜十分眠っているのに日中眠い場合は、過眠症を調べる) - 就寝時の異常感覚(脚がむずむずしたり火照ったり、脚をじっとさせていられないためによく眠れない、夕方以降に悪化)
- → むずむず脚症候群を調べる
- 睡眠・覚醒リズムの問題(適切な時刻に入眠できず、希望する時刻に起床することができない)
- → 睡眠日誌で睡眠・覚醒リズムをチェック
(概日リズム睡眠障害を調べる)
2.人から指摘される症状
- いびき、無呼吸(いびき、眠っているときに息が止まる、突然息が詰まったようにいびきが途切れる)
- → 体重、飲酒、服用薬をチェック
(睡眠時無呼吸症候群を調べる) - 睡眠中の異常行動(寝ぼけ行動、寝言、睡眠中の大声・叫び声)
- → 夢との関連性、起こして覚醒するかどうか、チェック
(睡眠時随伴症を調べる) - 睡眠中の異常運動(寝入りばなや夜間に、脚がピクピクと動いている)
- → 就床時の異常感覚についてチェック
(周期性四肢運動障害を調べる)
3.不眠症以外の疾患に対する治療法
- 睡眠時無呼吸症候群
- 重症度によって治療法が異なります。経鼻的持続陽圧呼吸療法(鼻CPAP療法)や口腔内装置などが使われます。肥満がある場合は、ダイエットが必要です。飲酒や睡眠薬は、かえって悪化させます。
- むずむず脚症候群・周期性四肢運動障害
- てんかん薬や抗パーキンソン病薬などが使われます。専門医の診察が必要です。
- 過眠症
- 夜間十分な睡眠をとり、規則的な生活を心がけるようにしましょう。昼休みなどに短時間の昼寝をうまく取り入れましょう。眠気に対して中枢神経刺激薬が使用されることがありますが、専門医による診察と検査が必要です。
- 睡眠時随伴症
- ストレスなどが関与している場合があるので、ストレスの軽減につとめましょう。睡眠中の寝ぼけ行動に対しては、危険に配慮した寝室環境を整えましょう。薬物療法として、睡眠薬、抗てんかん薬、抗うつ薬、抗パーキンソン病薬などが使われます。
- 睡眠障害
- 体内時計をリセットし、通常の一日のリズムに合わせるためには、朝たっぷり光を浴びるようにしましょう。休日でも同じ時刻に起床して、光を浴びるのがコツです。睡眠薬やサプリメントを使用する場合は、専門医の指導を仰ぎましょう。
趣味やスポーツ、ボランティア活動について
山口県県民活動スーパーネット
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